【歯科の3Dプリント】生体親和性を出すために必要なこと
【歯科の3Dプリント】生体親和性を出すために必要なこと
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3Dプリンターで生体親和性を担保し、口腔内で使うために絶対に必要なこと
日本全国の歯科を愛する皆様、こんにちは!名南です。
昨今、3Dプリンターの歯科臨床における活用が注目され始めています。
歯科診療所における3Dプリンターの活用法としては、2020年頃まではアライナー矯正の模型作成や、口腔内スキャナーデータの模型積層など、使用用途も限定的でした。しかし2021年頃から、テック材や床用の樹脂が相次いで薬事承認が日本国内でも承認され、口腔内スキャナーの普及も相まって、にわかに歯科診療所での歯科用3Dプリンター導入が熱を帯び始めています。
このコラムを呼んでいる歯科診療所の皆様の中にも、3Dプリンターを活用し、治療リードタイムの短縮化や技工物製作コストの削減で差別化を図りたい方が多いのではないでしょうか。
本日のコラムでは、3Dプリンター積層物を口腔内で使用する際に重要となる、「生体親和性の担保」の重要性と、その方法についてお話します。 -
生体親和性を阻害する、「未重合層」とは
3Dプリンターで積層されたものを触った際に、ほんの少しだけ表面がしっとりしているような、ベタつきを感じたことはないでしょうか。あれが「未重合層」と呼ばれるものです。これは完全には樹脂が硬化していない部分となり、この部分が唾液で溶解すると、患者様が苦味を感じたり、体内に入ってしまうと有害な物質となります。
また、個人トレーなどでは、この未重合層のベタつきが印象材のくっつきを阻害し、「印象をとった際に印象材が剥がれてしまう」というクレームの原因ともなります。
こうこういった理由から、テックやデンチャー、個人トレーといった口腔内で使用するものを3Dプリンターで作る場合は、かならず未重合層を処理して、「完全重合」を行い、生体親和性を担保する必要があるのです。 -
「未重合層」はなぜ生まれる?
「いやいや、しっかりと光重合器で長時間2次重合を行っているのに、どうしても未重合層が残ってしまうんですけど!?(涙)」
と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
実は、空気中の酸素(O2)が、光重合を邪魔するからなのです。
このため、空気に触れたままで光重合しているうちは、どうしても未重合層が残ってしまいます。
これを解消するために必要なのが、酸素を排出して酸欠状態で光重合を行える光重合器なのです。 -
「完全重合」を行うために必要な光重合器
こうした未重合層を完全に処理できる光重合器としては、窒素充填式と真空式の2タイプが販売されています。
どちらも生体親和性を担保する重合が行なえます。
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窒素充填式光重合器
窒素充填式の光重合器のメリットとしては、窒素を充填することで高いレベルで酸素を排出し、安定したパフォーマンスが期待できることです。
デメリットとしてはコストは安価ですが、やはり消耗品として窒素ガスとボンベが必要となります。 -
真空式光重合器
一方真空式は、モーターで真空状態を作るため、窒素が必要ありません。
ただデメリットとして、チャンバーのパッキンやモーターが老朽化してくると真空状態にばらつきが発生してしまうリスクがあります。
当社では、身体に与えるリスクを最小限にするためにも、安全性を最優先して、窒素充填式の光重合器を推奨しています。 -
おわりに
いかがだったでしょうか。
自社でお持ちの光重合器と比べてみたい!と思われた方は、当ホームページの「お問い合わせ」からご依頼ください。重合前の積層物をお送りいただきましたら、窒素充填式光重合器「オトフラッシュ」にて重合後、返送させていただきます。
ぜひ未重合層のない「完全重合」した状態をお確かめください!